薬剤師として数年、数十年の間、病院や薬局、ドラックストアーで勤めてきた方々の中には独立して開業することを考えておられる方も多いと思います。では薬剤師として勤務し続けるのと、独立開業し自分の薬局を持つのではどれほど収入に差があるでしょうか。また独立する際に考えるべきどんな点があるでしょうか。
近年の薬剤師増加に伴い、収入も頭打ち傾向にあるとの見方が増えています。薬剤師が不足していた2010年前後では年収1000万円も珍しくない職業でしたが、現在は調剤薬勤務で年収約500万円、管理薬剤師の資格を持っていても年収550万から600万円程度が平均です。では薬剤師として開業した場合はどうでしょうか。開業する地域性や周辺にある他薬局、ドラックストアーなど様々な要素が関係してきますが、年収約1500万円から1800万円が一つの目安と言われています。
約1000万円近い年収アップも決して夢ではありません。勿論、開業してすぐに黒字経営になり、初年度から年収1500万円というのは難しいでしょう。まずは開業するための資金と運転資金が必要になります。その後、病院や患者さんからの信頼を得ていくことも売上向上には必要不可欠です。ただ、調剤薬局は飲食店や販売店に比べて比較的小さな土地やテナントを借りて開業することができます。内装もこだわることなく、シンプルなもので十分です。そういった面では初期費用を抑えることも可能です。
1日で薬剤師が30枚から40枚分の処方箋を調剤できれば、毎月の固定費を賄っていくことができます。つまり黒字にし、収入を増やすためにはそれ以上の処方箋をこなしていく必要があります。約半年で安定してこの基準を達成することができれば、その後は経営を軌道に乗せることができます。ですから、開業する時には場所をよく考えることが大切です。独立することによって、病院やドラックストアーなどで働いていた時のような人間関係などからも解放されストレスなく仕事を楽しめていると感じる薬剤師も大勢います。
では独立する前にどんなことも覚えておくとよいでしょうか。例え、開業時に熟慮し場所を選定したとしてもその後に、近隣の病院が閉院したり、他の薬局が開業したりといったことは避けられません。また勤めていた時とは違い、自分で経営を管理し様々な事務仕事もしなければなりません。もし他にも薬剤師を雇うならば、経営者としての自覚が大切になります。それで独立を考える時には、収入は増えるがそれに伴う幾つかのデメリットもあることを覚えておきたい点です。